兼良陸の父親が援助交際をしていることを、明日香は自ら周りに広めることで、いじめのターゲットを朋美から自分に変え、彼女を助けていたのでした。
それから、明日香へのいじめは、彼女の不幸な生い立ちも重なり、激しさを増します。
視聴率が冴えなかったため最終回も 54分でしたが、もし延長されていたら、いじめに耐えている明日香を、朋美は黙ったまま見てみないふりをしているシーンが何度も映されたかもしれません。
「明日香は私の身代わりになってくれただけなの。心の中で何度も言いました。でも、私、言えなかった。何も言えず、黙っていました。」
小学校からの親友が自殺に追い込まれるまでいじめられているのを黙ってみている、ここにいじめの本質があるのではないかと思いました。
「間違いありませんか。死んじゃダメだよと、生きてなきゃだめだよと明日香は言ったんですね。」
「はい。」
積木の質問に朋美は答えます。事件のあったその日、明日香は飛び降りようとする朋美を励ましていたのでした。
自殺を思い直した朋美は窓から下ります。安心した明日香も下りようとしますが、足をすべらせます。彼女の死は事故だったのです。
足をすべらせ、窓枠も雨で濡れていたため掴むことができず、すべった手がそのまま下へ落ちていくシーンは胸に残ります。
朋美が振り向いた時、明日香はいません。下で女子生徒の叫び声が聞こえます。現場検証では、教室には誰もいなかったわけですから、朋美はその場を逃げるように去っていったわけです。証人喚問が終わった時、「私を死刑にして下さい」 という朋美は、明日香が身代わりとなっていじめられてから今まで、自分をどれだけ責めていたのか、計り知れないものを感じます。
真実を明らかにしたい、その気持ちだけでここまで進めてきた裁判でしたが、あまりにも残酷な真実でした。
「私は 1人じゃないってわかったの。私にも、私が死んだら悲しむ人がいるってわかったの。」
事故の直前、明日香はこう言って朋美を励まします。悲しむ人って誰なのか、少し謎でしたが、最後に判明します。それは、いじめを知らない、9歳のときの自分、そしていじめを乗り越え、社会に出たあとの大人の自分が悲しむだろうというのです。しかし、これではあまりにも可哀想すぎやしませんか。
このドラマのラストは彼女の残した文章で希望の光が差し込むシーンで締めくくっていましたが、明日香が不憫 (ふびん) でしょうがなくなる終わり方でした。
いじめ、自殺という社会的問題をかなりドラマチックに描き切っていました。脚本は坂元裕二、「愛し君へ」、「ラストクリスマス」、「西遊記」、「トップキャスター」 と、もう 2度と彼の書くドラマは見まい、と思っていましたが、どうして、どうして、素晴らしい作品でした。こういうのも書けるんですね。本当に彼が書いたの?
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